トピックス

  • 2022年04月08日健康栄養

    健康な食事を摂るためのシンプルな5つのアドバイス!

    健康な食事を摂るための5つのアドバイス!

    皿

    執筆者:天野方一(医師)

     

    世の中には、健康な食事に対する情報があふれかえっています。どの情報が正しいのか、どの情報を採用したらよいのか迷いがちです。

     

    今回は、普段の食事で注意してほしい、シンプルな5つのアドバイスとしてまとめてみました。食事全体を1つのプレート(お皿)と仮定した場合に、何をどのくらい摂取したらいいのかを示しています。

     

    健康的な食事5つのアドバイス

    ① 野菜と果物をできるだけ多く食べる~可能ならプレートの2分の1

    野菜の中でも、ジャガイモの摂りすぎは健康によくないので、ジャガイモは野菜に含めないように心がけてください。

     

    ② 主食は全粒穀物を選ぶ~プレートの4分の1

    主食は、なるべく全粒穀物を選ぶようにしてください。全粒穀物とは、精製していない全粒の小麦、大麦、雑穀、オーツ、玄米、また、それらから作られた全粒粉パスタなどの食品のことです。

     

    全粒穀物は、精白した小麦を使ったパンや白米、その他の精製された穀物に比べて、血糖値が上がりにくく、また肥満になりにくいといわれており、健康にいいとされています。

     

    ③ タンパク質は意識して摂る~プレートの4分の1

    私たちは近年、タンパク質の摂取量が低下しています。タンパク質を、意識的に摂取するようにしてください。

     

    魚、鶏肉、豆、ナッツ類は、全般的に健康的で万能なタンパク源です。野菜とも相性がよく、サラダに混ぜたりすると、素敵なおかずになります。赤身の肉、ベーコンやソーセージなどの加工肉の摂取は控えましょう。

     

    ④ 健康的な植物性油-ほどほどに

    健康によい植物性油には、オリーブ油、キャノーラ油、大豆油、コーン油、ひまわり油、ピーナッツ油などがあり、油を選ぶ際はこれらを選びましょう。

     

    マーガリン、ファットスプレッドやショートニングなど、半硬化油(白っぽい固形の脂肪)は、体によくないトランス脂肪酸が含まれているので、避けましょう。トランス脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させ、心臓や血管の疾患にかかるリスクを高めるといわれています。低脂肪だから健康によさそうだと思いがちですが、間違いです。

     

    ⑤ 飲み物は水、コーヒー、お茶を摂取する

    糖分入りの飲料はなるべく避けるようにしてください。

    また、野菜ジュースやフルーツジュースが、野菜や果物の代わりになるとは考えないでください。

     

    その他のアドバイス

    アルコールはどのぐらい飲んでいいのか?

    お酒は飲みすぎなければ体にいいと思っている人は多いでしょう。

     

    でも、結論から言うと、現時点では、少量の飲酒が健康に絶対いいというエビデンス(根拠となるデータ)はありません。様々な研究があり、因果関係に決着がついていないということです。

     

    ただ、適量の飲酒は健康に対してポジティブに働くという説が、確かにあります。お酒を飲む場合は、週に1~2回、1回に1~3杯程度にとどめることをお勧めします。

     

    塩分はどのぐらい摂取してよいのか?

    塩分の過剰摂取は、動脈硬化に関連する疾患(高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、慢性腎臓病など)のリスクです。国や学会は、1日の塩分摂取量を6gまでにすることを推奨しています。しかし、過度に塩分制限をしてしまうと、食事が美味しくなくなり、逆にストレスが高まります。まずは、毎回の食事で美味しさを損なわずにできる塩分制限を行うように心がけてください(ラーメンの汁を残す、漬物を食べない、など)。

     

    このような食べ方は本当に健康にいいのか??

    上記 のような理想的な食事と、死亡率や病気になる確率との関係について報告した研究があります。

     

    7319人(平均年齢49.5歳、参加者のうち女性は30.3%)を対象とした研究では、理想的な食事を摂取した人は、しなかった人に比べ、全死亡リスクが25%も低く、心疾患による死亡リスクが42%も低かったそうです1。

     

    約100,000人を対象とした観察研究(観察期間8-12年)では、上記のような理想的な食事を摂取できた人は、できなかった人を比較し、主な慢性疾患(心血管疾患、癌及び非事故による死亡)になるリスクは男性では約20%、女性では約11%も低かったです。心疾患に限定すると、理想的な食事を摂取できた人は男性では約40%、女性では約28%もリスクが低かったことがわかっています。

     

    また 、約100,000人を8~10年間追跡した研究では、理想的な食事をしていた人は、そうでなかった人に比べて、①主要な慢性疾患(心臓や血管の疾患・癌)および非事故による死亡リスクが、男性では約20%、女性では約11%も低く、②心疾患になるリスクは、男性では約40%、女性では約28%も低かったことがわかっています。

     

    参考情報

    ハーバード大学で紹介されている理想的な食事プレート

    食事プレート

    今回、一番お伝えしたいことは、食事を摂取する際には、量よりも質に注意してほしいということです。同じカロリーでも、砂糖がたっぷり入ったパンと、豆や鶏肉がたっぷり入った野菜サラダでは、意味合いが全く異なります。

     

    また、毎日このような理想的な食事を摂取しなくてはいけないということでもありません。食事の、栄養以外の面もとても大切です。例えば、おしゃれなレストランで楽しい時間を過ごすことは、友人とのとてもよいコミュニケーションツールでもあります。まずは、毎回の食事でできることを少しずつ実行するように心がけてください。

     

    執筆者:天野方一

    方一先生

    2010年に埼玉医科大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了し、腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、抗加齢医学専門医や腎臓内科専門医等の資格を取得。

     

    予防医学やアンチエイジングの重要性を感じ、2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、「食生活や生活習慣等など日常生活を改善することで、身体だけでなく心もハッピーに」をモットーに、予防医学やアンチエイジングに関する研究を行っている。

     

    2018年秋からハーバード大学公衆衛生大学院に留学し、最先端のアンチエイジング及び、The relationship between health and happiness(健康と幸福の関係性)」 について研究。

     

    資格:抗加齢医学専門医、腎臓内科専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医

    公衆衛生修士号(Master of Public Health、MPH

     

    参考文献

    1. Akbaraly, T.N., et al., Alternative Healthy Eating Index and mortality over 18 y of follow-up: results from the Whitehall II cohort. Am J Clin Nutr, 2011. 94(1): p. 247-53.
    2. McCullough, M.L., et al., Diet quality and major chronic disease risk in men and women: moving toward improved dietary guidance. Am J Clin Nutr, 2002. 76(6): p. 1261-71.

     

ページの先頭へ